南大阪で欠陥住宅を建て替えるオッサンのブログ(along with 泉北ホーム)

建売の欠陥住宅に長年苦しんだ末、泉北ホームさんで建て替えます。その顛末です。

5.施工について

(1)IT業界との類似性

 住宅業界を調べる前は工務店、住宅メーカさんというものは、家づくりのプロフェッショナルで、家作りの全ての工程を手掛けるものだと思っていました。

 しかし調べてみると、私が働いているIT業界と大して変わらないという実態が見えてきます。最初にIT業界についてお話しましょう。

 ITをよく知らない人は、富士通、NTTデータといったシステム会社は、システム開発を自社で行っており、システムエンジニア(SE)という職種はコンピュータのことが何でも分かり、システムというものを何でも一から作り上げるプロフェッショナルと思っていることでしょう。

 しかし、日本のIT業界というものはピラミッド構造になっており、下請け、孫請けは当たり前、また非常に分業化が進んだ世界です。

 小さなシステムの場合はシステム会社が単体で作ることもありますが、基本的には作業を分割して下請けに仕事を流しており、ピラミッドの上位企業ほど実際の生産行為から離れており、口利き屋であったり、段取屋の仕事が中心となります。

 また、SEという職種も割と狭い世界しか知らない専門職でして、ろくにプログラムも書けず、コンピュータを構成するハードウェアについても無知な方々も多数いらっしゃいます。ITのことなら何でも知っているという人は非常に稀な存在です。

    f:id:tanegon:20100511155614j:plain

 住宅業界も構造が良く似ています、工務店さんや住宅メーカさんが全て自社で施工しているということはまずありません。小さな木造の家だからといっても、基礎屋に始まり、大工、水道屋、電気屋・・・等々の専門業者に分業して下請けに出しています。つまり、工務店さんや住宅メーカさんは基本的に口利き屋、段取り屋さんな訳です。そこで働いている方々も細かく分業化された専門家な訳です。

  f:id:tanegon:20130204204719g:plain

 昭和の漫画(例えばサザエさん)にある、工務店の現場に精通したスゴイ親方が、手下を使って家を建てていく姿、それは今やファンタジーでしかないかもしれません(宮大工とかだと違うのでしょうが)。

f:id:tanegon:20130205223421j:plain

 

(2)管理の重要性

 さて、口利き屋、段取り屋さんというと聞こえが悪いのですが、現代風の言い方をすると、品質施工管理(外注管理を含む)、工程管理を行うと言うべきでしょう。

 つまり、「下請け業者さんが仕事ができるかを見極め、施工状況をチェックして指導する。工程に遅れが出ないよう段取りを行い、進捗状況を把握し、遅れが生じた場合は是正処置を図る。」といった管理活動を行うのが、が、工務店さんや住宅メーカの重要な役割な訳です。

 しかし、現場見学をしてみるとうまくいっていないケースが多々見受けられました。ローコスト系の会社さんでは酷い施工がありましたね。例えば、通常の釘を使う様な木工事で木ねじを使用し、更には全然効いていない木ねじを適当に刺しているとか。

f:id:tanegon:20130207225904j:plain

 他にも、カスガイをうち忘れているとか、パッチワークのように短いばらばらの木材をつないで打ち付けているのか・・・。私の様な素人でも変だなと思うようなと施工品質の物件を見かけました。それでも平気で構造見学会をしてしまう状態なのです。

どうも次のようなローコスト系の悪循環に陥っているのではないかと考えます。

 ①下請けに払う手間賃が安く、下手な職人が仕事を請け負う

 ②現場監督はたくさんの現場を掛け持ちするため、十分に見て回れない。

 ③下手な職人は現場監督が来ないので、平気で不味い仕事を行う。

 ④不味い仕事が発覚し、現場監督が問題対応に追われる。

 ⑤④のため、ますます現場管理が疎かになる。このため担当営業まで

  応援で対応に追われる。

 受注物件数が増えると、加速度的に仕事が増えてしまうので、ローコスト系会社の社員の方々はしんどくなっていくのです。これは管理の方法に問題があるのです。

 具体的な管理方法の改善策として、”下請けのレベルを揃え、社内の施工標準を設けて一定の品質を確保する”、”年間の建築件数に制約を入れて仕事量の平準化を行うことで繁忙期を抑える”、”管理のシステム化を進めて労力を軽減する”等が考えられます。

 でも、実際に色々な会社さんを回ってみると、「管理方法の改善に取り組んでいる会社が少ないなー」という印象を持ちました。根性と過重労働で対応している感じです。

 管理方法の改善が十分でなくても、自社で施工管理(監理)を行っていることを売りにしている会社なら、まだ良心的な方だと思います。なにしろ、大手でさえ、実質丸投げをしている会社もあるようですから。

 一方、「地元の小さな工務店だから、現場に目が行き届き大丈夫だろう」と考えがちですが、これも間違いかもしれません。この業界は分業化が進んでいるため、下請が行う施工全般について、正しい知識を持って理解している方は意外と少ないのです。万が一施工上問題があっても、現場を見る正しい目が備わっていないため、「いままでやってきたし・・」と見落とされる可能性があります。

 現場の方々と話をした印象では、中小の工務店さんだと、長年の経験を積んだ社長さんクラスや、一級建築士免許を持つ若手経営幹部の方ぐらいでないと、正直安心できないと思うことがありました。