南大阪で欠陥住宅を建て替えるオッサンのブログ(along with 泉北ホーム)

建売の欠陥住宅に長年苦しんだ末、泉北ホームさんで建て替えます。その顛末です。

3.断熱について-3

 吹き付け断熱での心配事(前々回の続き)

 外断熱の会社の営業さんから吹き込まれた(笑)、吹き付け断熱での心配事について扱っております。

 前回は吹き付け断熱での内部結露を扱いました。結論としては、透湿抵抗値の低い構造用合板を用いれば問題ないことを説明いたしました。

 今回は続いて、吹き付け断熱の家屋内に雨水が浸入した場合の影響について説明いたします。次に、私が現場見学をして回った際に、雨水侵入を防ぐ上で施工上心配に思った点についいて説明いたします。

 

吹き付け断熱の家屋で雨水が浸入したらどうなるのか

 外断熱の会社の営業さんのお話では、「万が一雨水が浸入したら、吹き付け断熱では毛細管現象によって壁面全体に雨水が広がる。どこから雨が侵入したかわからなくなるので、壁ごと交換する羽目になったんや。」とのことでした。

 なお、その営業さんは強引な方で、吹き付け断熱のネガティブキャンペーンのため、吹き付け断熱のサンプルを水槽に突っ込み、水中で力を込めてサンプルを握り締めて無理やり水を吸わせて、「ほら、こんなに発泡ウレタンは水を吸い込うよ~!」とデモンストレーションされていました。だから、ちょっと眉唾話にも思えたのですが・・。

 吹き付け断熱で用いられる発泡ウレタンにはいくつかの種類があります。私は南大阪を中心に現場見学しましたが、使われていた商品を具体的に並べると、アクアフォーム、ソフティセルONE、フォームライトSLといったものでした(なお、ソフティセルONEとアクアフォームはOEMの関係らしいです)。

 これらは現場で2種の原液を混ぜることで100倍に発泡、気泡を構成することで断熱効果を得られるという仕組みです。色々と調べてみると、この気泡がつながっている(連続気泡)のため、水に対して毛細管現象が起こるということが分かりました。よって、雨水浸入時に壁面全体に雨水が広がったというのはアナガチ嘘でなさそうです。

 ちなみに、アイシネンという商品だと、同じ連続気泡でも撥水性があるので毛細管現象が起こらないとのこと(でも、やや高価らしい)。私はローコスト系の会社さんを中心に回っていたためか、南大阪でアイシネンを利用している会社はありませんでした(厳密にはカタログ調査では1社あり)。

 

雨水が入らないようにするには

 雨水の侵入して壁が水浸しになるというのは、根本的に雨仕舞が悪い家を建てていることに問題があると思います。雨仕舞については、後に”屋根について”でお話しましょう。

 今回は私が木造軸組構造の現場見学をして回った際に、施工上心配に思った点についてお話します。何かといえば、”現場の施工品質”により、同じ吹き付け断熱でも気密性が上がらなかったり、最悪の場合は雨水の浸入を招くのではないのかという疑問です。

 

本当に気密性を高めているのか

 木造軸組構造の現場で見た中で、全周で囲んでいる構造用合板に隙間があるということを述べました。いわゆる構造見学会だと吹き付け断熱施工後に実施することが多く、この様な実態をなかなか目にすることはありません。私も営業さんにお願いして、個別に見学をさせて頂いた際に気づいたのです。

 吹き付け断熱を施工すると、柱や梁などの構造の一部を残して見えなくなります。構造用合板どうしや柱との間に隙間があっても、モコモコの断熱材に隠されてしまいます。

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 言い方が悪いのですが、「少々の隙間とかがあっても吹き付け断熱材が埋めてくれる」という意識が現場にあるのではないかと推測しております(邪推かもしれませんが・・・)。

 例えば、次のブログでは、家の隙間が原因で吹き付け断熱で気密を高めることができなかった事例を紹介しています。この中で職人さんが、「断熱屋はウレタンを吹き付けただけで気密は出ると言っていたのに」という件があり、現場の意識をあらわしているように思います。

 http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-145.html

 なお、このブログの現場は隙間もなくて施工がしっかりしているとのことでした。見た目でもわかる大きな隙間があれば、当然気密は出ていないと思います。吹き付け断熱で気密測定までしている会社さんは、私が見て回った限りは1社もありませんので確認はできませんが。

 

施工品質が大事

 私の個人的見解ですが、気密の問題や雨水の侵入対策にしろ、施工品質を上げて隙間がないように構造用合板をキッチリ施工することが大事なのだと思います(気密にを高めるには更には気密パッキンの施工まで必要なのでしょうが)。吹き付け断熱で雨水の侵入して壁が水浸しになるというのは、断熱工法よりも雨仕舞の悪さや施工品質の低さに問題があるのではと考えています。

 なお、この手のお話をいくつかの会社さんにぶつけてみると、「透湿防水シートで守られているから大丈夫」、「吹き付け断熱は粘着性があるから少々の隙間でも大丈夫」とか、イージーな答えが返ってきました。

 「他の部分でカバーできるから適当でも良い」というのは、他の部分を担当している人がキッチリしているという前提があります。しかし、他の部分を担当している人が同じように考えておれば、カバーできずに問題が発生してしまいます。

 木造住宅の場合、施工管理をキッチリと行って丁寧な施工を積み上げていくこと、また現場経験をフィードバックして改善することで、期待する性能が出るのではなないでしょうか。それが出来る会社さんを選ばないといけないと考えました。

 

ツーバイフォーと木造軸組との比較ならば

 あくまで当方が現場を回ってみて感じたことですが、構造用合板をキッチリ貼り付けるツーバイフォーの方が、吹き付け断熱には向いているかもしれません。

 木造軸組構造では柱や筋違を重視しているため、構造用合板を補助的に考えている様子です(あくまで私が現場を回って見た心象ですが)。先述の通り、構造用合板の貼り付けが悪くて隙間がある現場をいくつか見ました。実際に構造見学会などに参加して、確認することをお勧めします。